このブログを検索

2017年4月25日

マンション敷地の重複使用で既存マンションが建築基準法上違法建築に




2017年4月の記事です。

マンション分譲の話で非常に問題となる事案が発生しましたのでレポートしたいと思います。

総論としては、敷地を分割したために、既存マンション建物に充てるべき敷地面積が小さくなり、所定の建築基準法令上求められている建蔽率や容積率を満たさなくなる可能性があります。

このような場合、新しく分割などされて新しい建築物に関して建築確認申請が強行された場合、新しい建物のみについてみれば、規制に適合している限り建築確認がおりることになってしまっているわけです。

もちろん、建築基準法の目的からすれば既存建物である分譲マンションが一気に違法建築物になってしまうわけで、このような全体として矛盾する結果となる状況を積極的に作り出すことを法令は建築主事に求めているわけではありませんで、このような事態を回避するために、建築主事は申請者に対して計画の変更等を指導することが望ましいとされてはいます。

しかしながら、それも全て知った上で建築確認が強行されてしまえば、建築部分についてあくまで判断する建築主事としては逆らうことができないのです。


敷地の重複使用(二重使用)となってしまう


建築基準法は敷地に建てられる建物の延べ床面積(容積率)の上限を規定しています。
こうして、既存マンションのほうが建築確認の際に申請した敷地内に新たに住宅が建つことによって、土地の「二重使用」状態が生じ、そしてなんともともとあったマンションの方が容積率規制を満たさない違法建築に追いやられてしまうということなのです。

具体的に報道された事案をなぞりますと、東京都杉並区において、昭和46年建築の11階建ての分譲マンションとして、マンションの底地と周辺の土地合計約3千平方メートルを敷地として建築確認を申請し、確認を受けたとあります。

そして、マンションの分譲を受けたマンションの区分所有者は、底地の約1,700平方メートルについて所有者と借地契約を締結し、残る約1,300平方メートルはマンション駐車場として利用されていたという状況です。

ここに、平穏無事に時が経過すればよかったのですが、平成25年になり事態が急変します。

敷地全体の所有権を、不動産業者A社(東京都目黒区)が競売で取得したのです。

その後、フロンティア側から駐車場部分を購入した不動産業者B社(埼玉県所沢市)が住宅6棟の新築を計画し、建築確認を申請するという事態に至ります。

杉並区は、平成26年1月に、マンションの管理組合とA社に対し、住宅建築の場合には、既存マンションが違法建築になるとして、駐車場部分を分譲マンションの管理組合に売却するか賃貸借契約などを結ぶように文書で行政指導しました。

そして、杉並区の指定確認検査機関にも建築確認証の交付留保を指示しました。

しかしながら、A社はなんとB社との売買契約を合意解除の上、駐車場部分のみの所有権をB社のグループ会社に移転した上で、さらにそのグループ会社という第三者からB社が購入するという形を経由し、再びB社として建築確認を申請してきたのです。

そして、杉並区も前の前の所有者への行政指導は空振りする形で、建築確認を認めざるをえなくなった、ということのようです。

マンションの区分所有者としては、行政指導をくぐり抜け、先に住む住環境を侵害したということで提訴し、その判決が後日出るという状況です。

もともとの法令の不備に起因するこうした問題について、そもそも借地上の建物という権利が弱いものを分譲で手に入れたということもあるでしょうが、こうした付け入る隙を与えているところも問題だと思います。

すっきり、建築法令の改正を行い、このようなセキュリティホールを塞ぐ方向で動くべきだと考えます。

たまには真面目な提言もいたします筆者からは以上です。

(2017年4月25日 火曜日)