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2017年5月23日

(労働法制)解雇の金銭的解決制度が制度化される見通しになった模様




おはようございます。

2017年5月の記事をお送りします。

会社や組織で働くというのも、契約の一つでありますから事情が変わった時にはお互い終了できることが原則です。

まず、労働者側からの離職は、特別な事情を除いては、民法上2週間前の予告でできるとされています。

(2週間先の日付を述べて)やめます、といえばよく、もちろん会社側はその撤回を求めることはできますが、撤回がなされなかったら当然に契約は終了となります。

しかしながら、雇用者側から労働者を離職させること、これを解雇といいますがこれには非常に厳格な正当事由という要件が課されています。

解雇に関するもっとも重要な法律条項といえば、労働契約法16条において、

「解雇は、客観的に合理的理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして無効とする」

と規定されています。

では、そもそも、なぜ、このような規定が設けられているのかといいますと、対等な個人間同士による契約と違って、労働者側にとっては一般に仕事を失うという重大な効果を生じせしめ、生活の基盤に直結するという意味で極めて重いと捉えられているからです。

そこで、こうした「いたいけな」労働者を保護するという観点から、政策上、裁判例においても、雇用主からの解雇については、正当事由、すなわち①客観的合理的理由、と②社会的相当性という厳しい要件を課せられ、これらが満たされない以上は無効となり解雇の効力が生じないとされているのです。

しかし時代は変わってきた


しかしながら、時代や社会情勢の変化によって、いたいけな労働者と同様に、いたいけな雇用主というものも理解されるようになってきました。

具体的には、終始環境が非常に厳しく労働者の労働環境が非常に悪いいわゆるブラック企業の存在です。

こうした会社では、いくら強行規定があろうとも、問答無用で違法な解雇通知がなされてきており、労働基準法令上それは認められないと訴えても結局泣き寝入りしているような場合も多いと耳にします。

加えてすでに雇用主との関係が破綻している職場において、毎日出社して働き続けるという選択も、お互いにとってなんら特でもありません。

そういう中で、解雇に関する雇用者側と労働者側の紛争について、結局あらかじめお金で解決できる、いわゆる「解雇の金銭的解決制度」を巡り、厚生労働省の方針で、解雇された労働者側が職場の復帰を求めなくても、それに代えて解決金の支払いを要求できる権利を認めることで、紛争の早期解決を目指すことを柱とした制度の導入が議論されることになりました。

早ければ、2017年の夏以降にも、労働法制の改正に向けた具体的な論点整理が始まるということです。

確かに、従前の職場でいつまでも労使がもめていては、雇用主側も頭が痛いし、解雇通知を受けた労働者側も、これ以上従前の会社に居座っていても特に待遇が改善するわけもないことは明白であるため、さっさと解決金で手打ちにして、お互い次に進む方が合理的であることは確かです。

それでなくても、最近の労働市場は少子化による生産年齢人口の現象が本格化し、人手不足が顕在化しています。

有効求人倍率はうなぎのぼりで、失業率は過去最低水準を更新する勢いです。

もちろん、労働側に立つ識者や勢力からは、「会社が解決金に近い金額を示して労働者に退職を迫るリストラの手段に使われる」と非常な反発があります。

しかしながら、現在の法制度においても、結局職場復帰を主張しながら、その実解決金と称した金額の増加を狙う訴訟戦術に現行制度が使われているという現実もあり、こうした濫用について雇用者側としては非常にリスクに感じているのも事実なのです。

雇用者側の不安は、そのまま同じ雇用者のもと働く他の労働者に伝播します。

これでは企業の生産性向上など見込めません。

労働者側の、合理的に働き成果を出していれば突然解雇されることは少ない、と安心感を求めたいところと、雇用者側の、地位にあぐらをかいて全く働こうとしないもしくは働く能力がないことが合理的に判明した労働者をすっきり解雇したい、という要求双方の着地点を丁寧に探ることになるのでしょう。

いたいけな労働者であります筆者からの考察は以上です。

(平成29年5月23日 火曜日)