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2017年6月22日

神武以来(じんむこのかた)の天才加藤一二三棋士のことを語りつぐ話




2017年6月の記事です。

神武以来の天才、と書いて神武このかたの天才(神武天皇以来の天才児)と読ませる粋な通り名で実に62年、プロ将棋界に君臨した加藤一二三棋士がついに引退しました。

神武以来、とはずっと昔から続いてきたことで、それが転じて、これまでずっとなくて初めて起こったことを強調する表現です。

我が国が始まってからずっとなかったレベルの天才。

それが加藤一二三棋士です。

14歳7ヶ月で史上初の中学生棋士となり、将棋は芸術を標榜し、それから2017年6月の引退まで62年間、常に全力で勝ちに向かって進み続けた熱量最大の戦いでした。

矢が折れて弾が尽きての引退ではなく、規定による降級によって引退となったわけですが、123歳まで指して将棋界に貢献するとおっしゃるその熱意は全く衰えていません。

2017年現在、同じく中学生でプロ棋士として鮮烈なデビューを果たした藤井四段が破竹の連勝を続けていますが、この同じ時期に同じく時代を代表した棋士が77歳にして引退するというのは非常な縁を感じます。


通算1324勝(1234の数字が使われている)



加藤棋士の通算成績は1324勝1180敗です。

一二三の名前通り、1324勝と1234を全て使った勝ち数です。

一歩一歩積み上げた高みを感じずにはいられません。

負け数は歴代一位ですが、62年間指し続けて53%の勝率を誇るのは尋常ではありません。

そんな加藤棋士は、将棋ファンのみならず一般の人にもひときわ愛されました。

将棋においては、相手側から盤を見たり(ひふみんアイと呼ばれる)、昼食も夕食もうな重を頼むのは食事を選ぶことで集中力を削ぎたくない、またベルトの下20センチ以上もネクタイを垂らすのはたまたまそうやって長く結んだ時の戦績がえらくよかったから、とのことで、いいと思ったことは常に続けて突き進む、まさに得意な居飛車棒銀戦法の如く、熱量高く棋界をリードし続ける稀有な棋士でした。

人間好きなことを突き詰めればどこまでも高みを目指せる、そんなことを考えた出来事でした。

ひょっとしたら加藤棋士を天才たらしめたのは、62年以上も棋界のトップでひたすらに勝利を追求し続けたその熱量にあるのではないかと感じた次第です。

加藤棋士に習って、77歳で元プロ野球選手に遠投で勝とうと画策している筆者からは以上です。

(平成29年6月22日 木曜日)