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2017年11月14日

「功臣粛清の嵐吹く」で終わる名作歴史漫画を振り返っていろいろ話したい記事です

虞美人



おはようございます。

またまた夜更けまで昔の漫画を読んでしまった筆者からの2017年11月の記事です。

人間社会に生きて行くにあたって、いろいろな組織に属したり組織を作ったり、またはそのトップに立ったり従ったりして人は生きて行くものでありますが、現在(2017年11月)においてこうした意味で大ヒット中の日本の漫画といえば、あの大手の少年漫画誌と青年漫画誌でそれぞれやっている「ワンピース」と「キングダム」というところだと思います。

そして、ただの昔からの一漫画読者の感想ですが、今や少年誌においてはどぎつい表現や過激な殺戮シーンは御法度となってしまい、すでに昔の人気作品であった「北斗の拳」や「魁!男塾」、果ては「ドラゴンボール」といった名作に至るまで、そのままでは今の少年誌では表現できないということでそうした表現の舞台は青年誌に移っているように見受けております。

さて、そんな中筆者がその昔読んで、世の無常を深く考えるに至った作品に、少年ジャンプで連載し表現の制約から当時においても青年誌に移籍し完結した、「赤龍王」という作品があります。

これは、「キングダム」が描く中国の春秋戦国時代末期、秦の始皇帝による天下統一からさらに数十年時代が下って、始皇帝が死んでから楚漢戦争を経て漢の劉邦が再度天下を統一してその後400年続く漢の社稷を立てる、その物語であります。

わずか8巻の漫画ですが(昔の漫画は無駄に連載を引き伸ばしたりせず作品がきちんと終わるという意味でもまことに秀逸であります)、物語を通じて一貫するテーマはズバリ「諸行無常」というところです。

最後、楚の項羽を漢軍が総がかりで垓下に包囲し、そして最後の突破を試み項羽は自らの胸に剣を突き立て果てますが、作者(本宮ひろ志氏)はおそらく劉邦より項羽の方が百倍好きだったのでしょう、最後は全て項羽の突撃と切り結ぶシーンです。

そして、項羽は自害して果てますが、最後に見開き一杯のページを割き、項羽の生涯について「年少、赤身にして起ち、わずか三年で秦を滅ぼし覇王として天下に号令…(中略)…史上未曾有の壮事なり…。」と、それはもう最大級の賛辞で見送るのです。

片や、劉邦の方は、最後の出撃を敢行した項羽を必ず仕留めろと慌てふためきながら下知している姿が最後です。

そして、物語の本当の最後のシーンは、人物が全く出てこない漢朝廷の荘厳な建物をバックに、次のショッキングな言葉で締めくくられるのです。

紀元前二〇二年二月
漢王 劉邦 皇位に就く
その後 功臣粛清の嵐吹く
韓信 彭越 黥布の三族 いずれも誅殺される
張良 内紛を恐れ 隠退
盧綰 誅殺を恐れ 国外へ逃亡
「狡兎死して 良狗煮られる」
とは、誅殺された韓信の言葉である

歴史における結末と、本当に好きなキャラクターがどうしてもずれていってしまう、そのような雑談のお話でした。

現代のこうした漫画の名作たちも、商業主義とうまく折り合いながら、本当に描きたいことや伝えたいことを表現できる隙間がなくならないように願う次第です。

昭和時代からいつも漫画ばっかり読んでいる筆者からは以上です。

(平成29年11月14日 火曜日)