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2018年1月11日

映画「君の名は。」の区切りの書評としてマルチ年齢システムのことについて述べて終わりにします






おはようございます。

2018年1月の記事です。

過去2つほど記事をアップして好評だった映画「君の名は。」(。をつけるのが正解)の書評の最後とします。

実は、結構な反響をいただき、シリーズものとして続けてほしいという声もあったのですが、これでは「執筆」となってしまい、当ブログのその日起きて気づいたことをその都度書くという適当感が鈍ってしまい、それではむしろ興を削ぐ結果にもなるのではないかと思いまして、要するに面倒臭いので一旦区切りにさせていただこうと思ったわけです。

さて本論最後の君の名は。です。

アマゾンで英語字幕版も出ていましたのでこちらも見ました。

また新しい発見もありました。

ぜひ、ジブリ名作「天空の城ラピュタ」「魔女の宅急便」のように、完全セリフも英語オリジナルの海外版も作ってもらいたいと思いました。

英語の勉強にもなりますし、何より40過ぎ男がアニメ見ても訝しがられることが減ります。

さて、長い前置きはこのくらいで終わります。

君の名は。の英題はYour name.です。

?もなく、What’s your name?と疑問形でもありません。

これは、すでに体全体で知っているあの人の名前が出てこない、という強い渇望が生み出した題名なのです。

誰かに、「誰だっけ?」と聞いて「ああそうか」とわかるような軽いもんじゃないのですね。

そして、この映画はこの主人公2人の人物の印象を強く強く観客に与えるため、様々工夫しています。

三葉は美人、瀧はイケメンに描くのは当然として、それを、女子高生のときの三葉、彗星落下後8年経過した(26の)大人の三葉を少し暗い郷愁で描いています。

声優さんも、声を落としたり、その年齢を強く意識してアフレコしています。

瀧くんについてはもっとバリエーションがあります。

三葉が東京に会いに行った時の瀧は中学校2年生、電車の中で単語帳を繰っていますが、いきなり3つくらい上の田舎の女子高生に(美人だけど)声をかけられれば不信感でいっぱいでしょう。

出会い系かよ、といった警戒も頷けます。

そうして、メインの都内の高校2年生の瀧、しかもバイトの格好と制服の格好と2バージョンあり、また大学生になり就職活動をしている瀧、そしてなんとか会社に内定したのでしょう、春になって会社員をやっている瀧までこちらはフルバージョンで揃っています。

タイムトラベルもの、として時間を行き来できる特性をフルに使い、3年間の時間のずれをも計算し尽くして、同じ人物の微妙な、しかし決定的な年齢ごとの違いを明確に書き分けている、このことが物語の幅をグンと広げているということなのです。

この点、なんども言いますが別の名作アニメ、例えばスタジオジブリの古典的名作「となりのトトロ」を例にあげて申し上げますと、主人公のサツキとメイ(いずれも五月という意味ですね)は確かに印象的ですが、この場合、サツキは小学校6年生(12歳)のときのサツキ、メイは4歳のメイだけが登場します。

それはこのお話が時空を飛ぶ話ではなく、せいぜい数ヶ月が普通に経過する中でのお話ですので、物語の中で年を取ったり若返ったりすることはできないわけです。

ジブリアニメでいえば、かろうじて「魔女の宅急便」に出てくる女性キャラクター全てが、実は主人公キキ(12歳)の将来のロールモデルになっている、むしろ同じ人物が年齢を変えて同時に出演しているという隠れた設定を見ることができるくらいです。

すなわち、キキ(12歳)、そして絵描きの卵のウルスラ(18歳、実は声優さんも一緒のダブルボイスキャスト)、26歳のオソノさん(出産して一気にスリムになりますね)、それからケーキやパイを焼くのが大好きな高貴な老婦人(80歳くらい?)というような塩梅です。

(いずれも映画公開当時購入したパンフレットや筆者の記憶から)

しかしながら、「君の名は。」は、かの筒井康隆氏の古典的名作「時をかける少女」から連綿と続くタイムトラベル少年少女もの、という王道を踏襲しつつ、単に過去と現在と未来を行き来するだけではなく、むしろ過去と現在とが逢瀬する(=瀧と三葉がリアルに出会う)シーンを極限まで限定しております。

そして、男の主人公:瀧も女のヒロイン:三葉も、物語の最初では両方高校2年生として登場するのですが、例えばそこから3年前の滝くんや、時空を飛んで行くなかで、大学受験を控えた瀧くん、また大学に進んで就職活動をしている瀧くん、などが登場していくわけです。

人物像に、年齢による輪切り効果が加わり、同じ人物の歴史を感じて感情移入しやすくなっているわけです。

見る方も、多種多様な年齢性別の組み合わせなわけですから、これは当然「狙って」作っています。

それが証拠に、最初のシーンで主人公が高2時点のヒロインと背中合わせで並んでいる時の背の高さから違っていて、それをきっと制作側は意識して書き分けています。

特に男の子は、中学生から急激に背が伸びて心持ちも大人になって行くというところをよく捉えていると思います。

同じ人物の年齢ごとを書き分ける、こんな神業的な荒行に挑んだ制作側の努力は、少なくとも正当に報われました。

日本のアニメの未来は明るいものだといえそうです。

(ここで目を閉じるとRADWIMPSの映画テーマソングの数々が次々と脳内リフレインされ、まぶたの裏に割れた彗星が落下していく様が浮かび上がります)

ここまで書きましたが、アニメはそこまで詳しくなくこれから勉強だと思っております筆者からは以上です。

(平成29年3月27日 月曜日)