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2018年12月17日

PayPay100億円還元セールに見る経済学的な乗数効果の実現現場について考察してみました






おはようございます。

2018年12月のビルメン王によります薄口経済評論配信記事です。

PayPayという後発QRコード決済会社が、バックについているヤフーやソフトバンクというお金の力を駆使して、一気に日本のQRコード界を席巻しようと目論み、100億円還元キャンペーンという超ド級の販促活動を初めて、そして筆者のようなのんびり者が気づくまにあっという間に終了したわけですが、今更になって大体の仕組みを理解したので遅ればせながら言及したいと思います。

PayPayが100億円「還元」するというのは、断じて値引きではありません。

つまり、ビックカメラなどに行って、PayPayで支払うから値引きしてくれといっても、それはできないわけです。

PayPay払いで使った金額の20%がPayPay口座に翌月まとめて還元(バックマージン)されるということだけで、特に値引きではありませんし、現金が返ってくるわけではないのです。

あくまで、PayPay口座のPayPay残高が増えるというだけに過ぎません。

すなわち、PayPay口座に戻ってきた(還元された)PayPayポイントで、別のものを買うことが(PayPay払いを認めているお店で)できるというだけでありまして、将来、別のものを買うこととは全く関係なく、一旦普通にPayPayという決済手段を使って、お金を払って購入してしまったことには何も変わりはありません。

つまり、PayPayという決済手段でお金を使いまくれば、その使った分の20%を将来ポイントしてPayPay口座に振り込んであげます、という消費税や所得税の還付制度に似たものを感じるわけです。

すなわち、50万円の高額商品を買っても、それが値引きになるわけではなく、50万円の商品+一ヶ月先のPayPay残高10万円がついてくる、というキャンペーンを打ったわけで、これにより、例えば消費税増税時の駆け込み消費のように「将来の消費を先食い」して「必要なものを買いためた」のではなく、「欲しいけど高いしどうしようか迷っていた」という高額品を敢えて購入した人が多かったという記事もあり、さもありなんと思ったわけです。

これは、消費の先食いではなく、新しい消費の掘り起こしという意味で、画期的です。

政府が時々行う地域振興券や、地方公共団体が行う、1万円で1万2千円のチケット購入しませんか、的な話に比べれば、大変良く考えられた仕組みです。

PayPayでお金使ってしまった人は、とりあえず将来還元された20%分を使わないと損だと思ってしまうので、さらにその20%をPayPayで支払おうとするわけです。

こうなると、他のQRコードに乗り換えることも防げるというわけです。

しかも、です。

20%還元というと、単純に2割引きのように見えるのですが、けど、実際には50万円/60万円(50万円の現金と10万円のPayPayポイント)=0.833..で、16.7%引きにしかなっていないという、見栄えと実際のギャップも凄いものがあります。

これを仕掛けた人は、天才なのかもしれません。

100億円という販促費の最大効用を図るべく考え出された悪魔的システム、これは現代の公共投資による乗数効果の良いケーススタディとして、真面目な研究対象になるのではないかと思います。

お祭り騒ぎに巻き込まれたかったこちらからは以上です。

(2018年12月17日 月曜日)