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2018年5月20日

「働き方改革」によって待遇が上がるのも下がるのもあるという功罪について






おはようございます。

2018年5月の働き方改革に関する配信記事です。

日本全国、少子化に伴う人手不足が加速するのに合わせて、無駄を極力削減しようとする働き方改革が叫ばれています。

当初は、ブラック企業といった一部の極端な企業統治や企業慣行にその焦点が当てられていましたが、すでにこの動きは日本全国津々浦々、あらゆる事業所にあっという間に広まり、そしてその功罪も急速に明らかになってきていると言えましょう。

まず、この働き方改革の第一の眼目は、「同一労働同一賃金」という原則です。

しかし、一見目に見えない、具体的な労務や労働という中では見えにくい、企業で働く人の職位による「責任」というものが見えにくくなるという点もあるのです。

政府与党が2018年4月に国会に提出した「働き方改革関連法案」が審議入りしておりますが、この法案のポイントは、大きくは下記2つです。

(1)「罰則付きの時間外労働の上限規制」を導入すること

(2)正社員・非正社員の格差是正を目的とする「同一労働同一賃金」を実現すること

そして、時を同じくして毎年の春闘と呼ばれる労使間の待遇交渉のなかで、組合側(労働者側)が当然のように非正規社員の待遇の改善を求めて、正社員だけに認められている住居手当や扶養手当といった各種手当の対象拡充を求めたところ、会社側(経営者側)は、企業収益も厳しくない袖は触れない、同一労働同一賃金というならば、こういった不明瞭な「手当」こそ全廃すべきと組合側に逆提案してきたというわけです。

これは驚きの結果ですが、そもそもが同一賃金、ということであればその絶対額は関係ないわけで、いわばこれは当然に予想されていたことです。

非正社員の賃金を上げないかわりに、正社員の処遇を下げることで、同一賃金を達成するというわけです。

一見、血も涙もない会社側(経営者側)の決定だと思いますが、そうではない面もあると言えます。

この、働き方改革によって、各社企業側は、非正規社員の夏冬のボーナス(賞与)の正社員並みへの引き上げなども約束させられているのです。

そして、その原資を企業収入だけに求めることはできないので、やむを得ず、批判を承知で正社員がこれまで享受してきた各種手当というものを削ることによって賄おうと考えているわけです。

もちろん、そんなことは正社員側としては晴天の霹靂かもしれませんが、人件費を増やすにしても、結局企業が、それに見合った収益を上げないといけないわけであり、業績が向上しないかぎり、それまで相対的に優位な地位や事実上の報酬を得ていた正社員の賃金体系が下方的に見直されるのは、やむを得ないということになってしまうのです。

何しろ、会社側としては人件費の総額を削ったわけではない、ということなのですから。

むしろ、基準が曖昧かつ不平等のそしりを免れない各種手当こそ、同一労働同一賃金(パートタイム・有期雇用労働法)の罰則付き法制化に伴うリスクを回避するためには廃止するべきであるとすら言えるのです。

今後の方針として、対応は大きく二つに分かれていくと思います。

一つは、目に見える作業や業務については完全に同一賃金としていくという方向です。

そして、もう一つは、目に見える作業や業務とは別の、責任や監督、マネジメントといった目に見えにくいけれども企業経営統治には非常に重要なリーダーシップといった業務(急な残業やシフト入り、上限を過ぎた時間外労働の受容も含む)については、別に定義してその業務貢献に報いる別枠の給与テーブルを設ける、という方向です。

こうすれば、従業員である限りは業務遂行責任、役員(取締役や執行役員)になった瞬間結果責任(業績責任)といった杓子定規な粗い判定ではなく、どの社員(従業員)も役員も、目に見える作業業務のテーブルと、目に見えにくいリーダーシップやマネジメント業務のテーブルという2つのテーブルを持つことができ、その按分割合はだんだんとキャリアアップして変わっていくことで、深度が深くて納得感のある評価体系になるのではないかと考える次第です。

作業は遅く、管理(マネジメント)もあまりできない、きわめつけは勝負にも出れないしために出たところでもすぐに日和って負けが込む、というなかなか浮上のきっかけがつかめていない、いち従業員筆者からの考察は以上です。

(平成30年5月20日 日曜日)