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責任とは |
おはようございます。
2015年3月の保護者の監督責任に関する配信記事です。
なかなか世知辛い世の中であります。
損害の原因を作った人が制限能力者である場合、その監督義務のある保護者にその責任があるというのが民法の規定です。
無論、この監督義務を果たした場合には責任は免除されるということも同時に定められているのですが、一体どの範囲でこの監督義務を認めるのか、これが判例の積み上げによるものになっております。
これまでは、この監督責任は、法文に書いてあるとおり広範に認めていくのが判例でした。
例えば、認知症の90歳以上の男性が、誤ってJRの駅構内から転落した結果、電車のダイヤに大幅な乱れが生じたことによる損害賠償請求を、その看護介護を行っていた80歳台後半の妻に求めた事案(注)や、小学校6年生が、校庭でサッカーボールを蹴ったのが誤って路上に転々と転がり、ちょうど通りかかったバイクに乗っていた80代後半の男性が転び、その怪我が原因で数年後亡くなった損害を、ボールを蹴った男子児童の両親に求めた事案があります。
そろそろ何でも保護者の責任を問うのも酷なのでは
いずれも今までの判例では金額の多寡は別にして保護者の監督責任を広く認めてきました。
しかしながら、高齢者介護がこれだけ大変なものになっている現在、24時間片時も目を離さないのは無理だと言えますし、被害者と加害者の境目がまさに紙一重となっているように感じる現在、このような杓子定規な法律の解釈は双方にとっても裁判費用機会の損失とも言えるものになっているのかもしれません。
そういう議論の深まりにより、今後、最高裁判所の判例においても社会一般常識に沿った監督責任の範囲となっていくことが期待されますが、筆者としては、その前に個人賠償保険の加入などで自己防衛しておくことも必要かと思いましたので述べさせていただきました。
昔受けました法律の授業で、タテマエとホンネというキーワードだけは覚えている筆者からは以上です。
(注)その後の最高裁判例で、保護者に責任はないという判断が出ました。
(平成27年3月21日 土曜日 最終更新:平成28年3月21日 月曜日)