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2018年1月23日

カリオストロの城で一番の活躍を見せたのは結局誰だったかを考察してみるという話です





おはようございます。

アニメ映画の金字塔にして宮崎駿初監督作品として名高い映画カリオストロの城、これは筆者が物心ついてからすでに名作古典でありましたが、今も地上波で放映されると一定の視聴率を稼ぎ出すお化けコンテンツとなっております。

この怪盗ルパンの爽やかさときたら、現在名探偵コナンのスピンオフで流れる怪盗キッドなどまるで子供の魔法で霞んでしまうように思えるのは、筆者がド昭和生まれのおっさんだからでしょうか。

そうではないと祈りたいものです。

さて、そんな中、通算16回目の地上波放送を終え、視聴率11%超と以前衰えない人気を見せた同作品ですが、そもそも自分史では通算20回近くこの映画を見ているものとしては、そろそろ誰がこの映画で一番活躍をしたのか真面目に考察しておく必要に突然駆られましたので、ここに謹んで記しておこうと思います。

以下、若干ネタバレを含みますがご容赦ください。

本作品は、すでに不朽の名作であり、もはや古典と言って良いレベルに達していると思われますので、何卒お許しいただきたいところです。

まず、ヨーロッパ的小国カリオストロですが、なんとなくスイスや北イタリアあたりにありそうなイメージです。

ルパンが変装してローマの大主教の車に近づき、抱いている子ヤギに祝福を、と話しかける場面(その後ルパンはローマの大主教に成り代わった模様でまんまとクラリス/カリオストロの結婚式に登場)などは、まさにアルプスの少女ハイジそのままのシーンであり、オーバーラップしてハイジの登場人物がやってきたのではないかと思わせるところですが、話が逸れすぎるので元に戻します。

小国カリオストロは、生き馬の目を抜くヨーロッパ国際社会を生き抜く術として、裏の道である偽札「ゴート札」の製造にいつしか手を染めました(カリオストロ伯によると、400年と言われていますので、ざっと日本で言えば江戸時代くらいからやってきている伝統芸能ということになります)。

本物以上の完成度といわれている伝説の偽札です。

ルパンが劇中で語るように「世界史の裏で暗躍し続けてきた」偽札であり、ブルボン王朝を破滅させ、ナポレオンの資金源となり、世界大恐慌の引き金にもなったといいます。

この工場の心臓部は、カリオストロ公国の中にある大公殿下のお城から望む、池の中に浮かんだカリオストロ城を取り仕切る宰相の伯爵家によって管理され、そして密かに偽札は世界中に流通していた模様です。

この設定だけでわくわくするではありませんか。

世界的犯罪国家、これはもはやシリアや北朝鮮、といった2018年の現実国際社会を凌駕するほどの設定です。

宮崎アニメの破壊力おそるべしです。

そして、本来の君主である大公家のお城、お屋敷を7年前の大火が襲い、太閤殿下も妃殿下も亡くなってしまわれた、そして公国の政治は摂政を兼ねたカリオストロ伯が一手に引き受けるという、これぞモンテ・クリスト伯もびっくりの完璧な悪役の登場です。

筆者的には、未来少年コナンの悪役レプカを凌駕する、悪役完成度です。

そして、その横に影のようにつき従う、暗殺集団「影」の棟梁ジョドー。

このジョドーこそ、先の大公殿下のお城の出火の実行犯であることはほぼ間違いないでしょう。

カリオストロ城の地下には、一度落ちたら二度と這い上がれないと言われる広大な幽閉壕も作られており、代々の外国のスパイや盗賊たちの墓場と化しております。

ここに、ルパンも銭形警部も別々に放り込まれるのですが、わざわざ殺しにやってきた暗殺集団を返り討ちにして再び城内に潜入するなど、なかなか中年男たちの活躍が見ものであります。

ヒロインのクラリスは、そんな大公家に生を受けた一人娘で唯一の公位継承者です。

このクラリスとの強制的な結婚により、カリオストロ伯は、裏の地位としての偽札製造の権限と、表の顔である大公の地位を一手に引き受け、国際社会に号令するつもりだったのでしょう。

悪役は悪役なりに、筋が通っています。

単なるロリータ・コンプレックスではなさそうです。

その証拠に、クラリスを評して、「かわいい顔をしてもう男を引き込んだか? カリオストロの血は争えんな。フッフッフッフッ、我が妻にふさわしい…」などと述べています。

インターポールとの政治的駆け引きも天才的で、彼ら国際警察も国際機関も、カリオストロには手が出せない、要するに偽札つかまされて口を封じられていたというところなのでしょう。

そして物語は一気に終盤、ここでルパンと銭形警部、そして一足先にちゃっかり秘書としてカリオストロ城に潜入していた峰不二子との奇妙な、けれども絶妙な連携プレイが炸裂します。

結婚式に潜入してクラリスを奪還、ついでにルパンを追ってきた「風(ふう)」を装いテレビカメラを持って追いかけてきた不二子に銭形が伝えるセリフ

「見てくれえ、世界中の国のニセ札だあ、ルパンを追っててとんでもないものを見つけてしまったあ、どうしよう?」(棒読み)

が筆者の中での自分史上最高に秀逸な台詞となります。

かのスティーブン・スピルバーグ監督も絶賛した、日本の一般公務員たる警察官の真骨頂がここにあります。

彼らには、成功報酬もストックオプションも何もありません。

しかし、ただひたすらに職務を果たし、そして国際犯罪組織(この場合なんと国連加盟「国」!)を壊滅させるという大手柄を挙げるのです。

結果、この活劇で最も溜飲を下げたのは、実はルパンではなく(ルパン一味はクラリスの心以外何も盗まなかった)、偽札ゴート札の原盤をちゃっかりいただいた不二子ちゃんでもなく、また命拾いをして表の世界に帰ってきた本編ヒロインのクラリスでもなく、実はルパンを捕まえ損ねたにもかかわらず国際犯罪を白日の下に晒し、インターポールも一泡吹かせた、銭形警部率いるニッポンの一般公務員(埼玉県警)のみなさんだったというわけです。

という、舞台は欧州ながら極めて日本的なアニメ映画の私的解説でございました。

実は現役警察官を実父に持っております(今は退官)筆者からは以上です。

(平成30年1月23日 火曜日)