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2018年2月2日

20年以上同じ会社で働くと退職金の控除額が増えることを知っておくべきという話です







おはようございます。

2018年2月の配信記事です。

筆者は学生を卒業してからこのかた、おかげさまで隙間なく働かせていただき勤続満20年を超えてきているわけでございますが、実は、同じ会社に20年以上勤めていると、その会社を退社した時にもらえる退職手当(退職金)について、税額控除の特典があるという話を改めてしておくことから本日の話を始めたいと思います。

現在の日本の税制を見ますと、退職一時金は退職所得としてカウントされ、給与所得や不動産所得、雑所得などとは合算されず個別に所得税の税率が適用されるという、「分離課税方式」となっております。

これは、退職一時金は、過去の勤務に対する賃金の後払いという性格を持つために別枠で考えて、あとでもらうという給与所得者側の不便を感じてきたということと平仄(ひょうそく)を合わせて、「できるだけ税額が低くなるように」、税法上優遇措置が取られているものです。

ですので、例えば雇用主と実額年俸〇△□万円、と決めたとして、その内訳で、いくらを退職手当、いくらを交通費(通勤費)、残りを給与や賞与の形でください、と交渉することができれば、実は通勤費見合いでもらったり退職手当でもらった方が、税金や社会保険料としての考え方からすると「安い」ということになるのです。

もちろん、あまりにも恣意的に運用すると(例えば本給たる給与より退職金積立見合いの額の方が多いとか、通勤費が一ヶ月10万円を超えてくるとか)、税務当局への説明に雇用主も窮するでしょうが、税法上の建前からすれば、「できる」ということになります。

さらに、退職金については手厚い条項がありまして、勤続20年以下では、40万円×勤続年数が退職所得控除額となるのですが、それを超えた勤続20年を超える部分については、なんと70万円×勤続年数が退職所得控除額となる仕組みなのです。

従いまして、退職金の控除額をできるだけ得ようとするならば、例えば義務教育終了直後の中卒満15歳ですぐ会社に入り、同じ会社を定年まで勤め上げ、転職せずかつ同じ会社でも途中で役員なんかにならない(一旦従業員としては退職扱いになってしまうため)、ということにすれば、20年を超えた部分での退職金の控除額をより多く受けることができるというわけです。

実際の課税対象となる退職所得は、退職一時金からこの控除額を引いた後の額の1/2となります。

さて、この20年を超える部分の控除額が増額されているというのは、日本の雇用慣行上、長年の永年勤続に対する報償的な意味合いもあるし、雇用の定着率をあげるのが個々の企業体としても望ましいという日本的スタイルから是認されてきたものと思われますが、反面、逆に考えると転職に対するインセンティブ(見返りや報償)を減殺する結果となっており、もはやその会社ではお互いに居心地が悪い場合にスムーズな労働市場を通じた雇用主の転換(自ら個人事業主として操業する場合も、自分自身を雇用主と考えれば含まれる)が阻害されているとも言えるわけです。

この制度がどのように今後運用され見直されて行くか、今後政府の税務調査会などでの議論になっていく模様であり特に注視していきたいと考えています。

個人的には、転職はあまりやらない方がよいと思いながらも、通算7回もの回数、職を変えて参りました、まさに流木サラリーマンの通り名がふさわしい筆者からのコメントは以上です。

(平成30年2月2日 金曜日)

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