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2018年6月30日

第二次世界大戦時にチャーチルの演説でイギリス国民の目が覚めたという例え話です







おはようございます。

2018年6月最後の、よい演説に関する配信記事です。

第二次世界大戦前夜、自分の意思を貫く政治指導者がまずドイツに現れました。

名前はアドルフ・ヒトラー。

第一次世界大戦に敗北し、ハイパーインフレに喘ぐドイツの国の誇りを威信を取り戻し、経済を発展させ、アウトバーンを通し、産業企業を育成し、ドイツ民族の敵としてユダヤ人を敵視しました。

そのヒトラーの信じるところに、ドイツ国民は熱狂的な支持を集め、そしてドイツの拡大主義は頂点に達します。

そして、それまで宥和政策で鳴らしたイギリスでは、その行き詰まりを察して退陣したチェンバレン首相の後任として、与党の中では人気がなく、野党と国民の支持を勝ち取りつつあった偏屈者で、こちらも自分の意思を貫くことでは人後に落ちない政治指導者に恵まれました。

名前はウィンストン・チャーチル。

チャーチルは、ドイツとは徹底的に対決しなければならないことを、イギリス国民に語りかけるため、演説の機会を持つことにしました。

ヴェルサイユ条約での決まりごとに、いかにドイツが反して軍備増強を図っているか、勝手に領土的野心を露わにしてチェコの北部一帯のズデーテン地方、ここにはドイツ人居住者が多かったことから、ヒトラーがドイツへの併合を要求し、1938年のミュンヘン会談で英仏がひたすら容認の姿勢を崩さなかったため、ドイツに割譲されたこと、その際に、ヒトラーは、「領土的要求はこれで最後とする」と演説したものの全くそんな気がないこと、ドイツの増強中の艦船や航空機(戦闘機や爆撃機)の実働数、といった具体的状況や事情を滔々と述べるという方法もありました。

しかし、チャーチルは道すがら考えて、聴く人にとってわかりやすい、例え話から話し始めることにしたのです。

「みなさん、ベルリンの動物園では、羊と狼が同じ檻で、仲良く暮らしているそうです」

「そしてそれはとても人気の訪問スポットになっているそうですよ」

「私は、その動物園で、そんな羊と狼が仲良く暮らす檻がある、その秘訣は何ですかと聞いたのです」

「飼育員は、それに答えて、ああそうですね。。。狼の方はそんな問題ではないのです。簡単に、すぐに見つかります。でも、羊の方はね。。。毎朝、違う子羊を連れてこないといけないので、大変なんですよ」

この例え話は、獲物を喰らう、ナチスドイツの姿を、イギリスの「見たい現実しか見ない」聴衆にありありと思いえがかせ、イギリスが、現在、一体どのような悲惨な状況下にあるのか、すぐに想像イメージさせたのです。

いくら数字や政治のデータを見せたところで、それを心から信じていない希望的観測を、予見を持ってしまっている人には響きません。

それよりも、本質をズバリと突く、例え話の方が、聴衆に、聴くものにダイレクトに訴えることができる技術がある、そんな自分の意思を貫き通した、偏屈かつユーモアに溢れた指導者、チャーチルの演説のお話でした。

だいぶ年を重ねておっさんとなり、人前で講演などする機会も増えて来ましたが、なかなかチャーチルの域どころか足元にも達しない浅才の筆者からの記事は以上です。

(平成30年6月30日 土曜日)