このブログを検索

2018年6月27日

GEが収益の柱である医療機器部門を分離売却するという衝撃の話です







おはようございます。

2018年6月の世界の経済界を揺るがす衝撃のニュースです。

あのGE(ゼネラル・エレクトリック)がその収益の柱として育ててきた名門部門である、医療機器部門を分離し売却し独立させるというのです。

向こう1年から1年半の間で、具体的な方法は検討され実施に移されますが、売却した部門から入るキャッシュのうち、その8割は既存株主への配当に回され、残りの2割は会社が保有するキャッシュとなり、今後の運転資金や新事業領域への展開(買収含む)に使われるということです。

GEという巨大企業におけるヘルスケア部門(つまり医療機器部門)の売上高比率は実に15%、そのほぼ全てを売却するというのは、前のCEOであるジェフ・イメルト氏の出身部門であり、現在のGEの経営幹部たちもたくさんいることから考えると、普通はあり得ない決定です。

しかし、それだけGEへ向けられる風当たりは厳しいのでしょう。

株主も、8割を配当として受け取る、ということは、その部門に代わる別の収益の柱の部門を、当面GEは見つけられない、会社を一部畳むに等しいという判断です。

事業家にとって、これほどまで屈辱的な決定もないでしょう。

お前に株主の大事な金を預けるわけにはいかない、とっとと返せ、という迫られたわけですから。

かように、上場企業における資本の論理というのは冷徹です。

オーナー(つまり株主)と経営者が一族で同じ、という同族経営の会社であれば、会社がどのような方向に進むかはより長期的に決められると思いますが、GEでなくても投資したい別の会社や企業やファンドはほぼ無限にあると考える機関投資家やプロ個人投資家にとって、GEはもはや金を連れてこれる「器」としての一定の限界を見せた、ということにもなるのです。

100年を優に超える名門企業、筆者が社会人の若いころには超強力なモーレツおじさん、ジャック・ウェルチCEOの下、ナンバーワンナンバーツー戦略という、その業界で1位か2位になれなければ撤退か売却か、という厳しい事業採算基準で世界の時価総額トップの会社として君臨したGEも、筆者の目の黒いうちに、このようなことになるのかと驚きでした。

このヘルスケア部門の分離売却のほか、石油サービスや伝統的な家電や電灯、金融部門といったビジネスも全て手放した結果、新しいGEは、ジェットエンジンと発電プラント、そして再生可能エネルギー部門に特化した会社となります。

もう、総合電機メーカーではなく、専門製造業、といった感じですが、これが規模も自由自在という現代の資本主義社会における投資対象としての会社の姿なのかもしれません。

1999年には米経済雑誌「フォーチュン」(タイム社)で「20世紀最高の経営者」に選ばれているジャック・ウェルチの著書に、勝利の経営という本がありまして、その本の要諦を筆者流に解釈しますと、

卓越した成果を求める組織では一定の物差しと判断基準で格付けされ評価された下位社員の存在は、会社自身、および経営層、中位および上位の社員にとって有益でないのみならず、下位社員の人間自身にとっても他の環境で活躍できる可能性を潰して飼い殺させるという意味で、本当に有益ではない

ということであろうかと思います。

これは、有限な人間個々の時間を冷徹に判断した、いわば冷たい優しさともいうべき経営哲学ではないかと考えています。

そんなGEの、筆者にとってはあまり聞きたくはなかった斜陽の記事は以上です。

(平成30年6月27日 水曜日)