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2019年5月16日

令和元年(2019年)5月ようやく「終身雇用」という言葉の死亡診断書が公式に出されたようです

「正規」「非正規」といった雇用区分もなくなっていくと思います




おはようございます。

2019年(令和元年)5月のビルメン王(@shinya_ueda)提供による終身雇用という概念がついに公式に終焉したことをお伝えするブログ配信記事です。

「終身雇用」とは、簡単に言いますと新卒で入った会社に一生涯(労働人生)勤めつづけ、その会社を退職するときは労働市場からの退出であるという考え方です。

しかしながら、日本企業ではじめて売上高が30兆円を超えた文字通り日本一の企業であるトヨタ自動車の豊田章男社長が、日本自動車工業会という経済団体の会長という肩書き/立場で行った記者会見の中で、

「終身雇用を守っていくというのは難しい局面に入ってきた」
「雇用を続けている企業にインセンティブがあまりない」

と具体的に発言したのです。

また、経団連(日本経済団体連合会、日本最大の大手企業連合団体で財界総本山と称される経済三団体(経団連、商工会議所、経済同友会)のうち最大のもの)の会長である中西宏明会長(日立製作所会長)も、2019年(令和元年)5月7日の定例会見で、終身雇用について、

「制度疲労を起こしている。終身雇用を前提にすることが限界になっている」
「雇用維持のために事業を残すべきではない」

と、経営者に対しては新しいビジネスモデルに注力し、雇用側には甘えを捨てて欲しいと訴えたのです。

誰でも他人に嫌われたくはありません。

しかしながら、

「自分の仕事がなくなるという現実にいくつも直面している。すぱっと首を切るわけにはいかない。その人たちには内部で転換を図るか、外で活躍してもらうかだ」
「だめになりそうな事業を残すことは雇用されている人にとって一番不幸だ。経営者は早くあきらめるべきだ」

とまで言わなければならない経済社会状況を、日本国民諸氏はこぞって、日本企業の経営者の無能ぶりや冷酷ぶりを叩く前に、きちんと認識しなければならないと思います。

終身雇用とは、22歳大学卒業新卒採用から65歳定年退職とした場合、43年間を一期間として、同一人の雇用を同一会社が担保する、という事実上の「長期雇用保証制度」です。

しかしながら世の中の移り変わりのスピードはとても早く、例えば2019年5月末にめでたく満65歳となって「定年退職」する人が新卒の22歳だった時代を考えてみますと、

22歳の時点は、すなわち42年前の4月、すなわち1977(昭和52)年4月となります。

1977年に起きたできごとで、政治史と芸能史とで一つずつあげるとすれば、

1月27日 - ロッキード事件「丸紅ルート」初公判。31日全日空ルート初公判
2月8日 - フジテレビ系火曜ワイドスペシャルの人気シリーズ『ドリフ大爆笑』の放送開始

とありました(ビルメン王調べ)。

田中角栄首相の5億円の贈収賄事件のロッキード事件、歴代視聴率を塗り替えたお化けテレビ番組のドリフ大爆笑、これらの出来事は、ほとんどの日本人にとっては「歴史上の」出来事だと思います。

それだけ、42年という時間は長いのです。

そもそも、42年前には、2019年5月現在の世界企業の時価総額ランキング(ビルメン王調べ、数字は時価総額(米ドル))でトップから5番目までの

マイクロソフト 1,000億ドル強
アマゾン・ドット・コム 950億ドル強
アップル 950億ドル弱
アルファベット(グーグル)850億ドル弱
フェイスブック 550億ドル強

の、どの会社もまだ誕生していません。

できていない会社に就職するチャンスもないまま、一回限りの新卒採用で、それから42年間の雇用を、事業主側が確保し続けなければならないというのは、どう考えても無理ゲーであります。

もちろん、「安心して働きたい」というのは人間の自然な願望です。

しかし、会社で働くということが、その会社の事業の業績や成果に直接つながるようにしつづけないと、いつしか会社はただの共同体となり、収益という血流が止まり、死にます。

いいチームや組織を作るというのは良いのですが、あくまで、収益事業体である会社に集うものとしては、働くということがその会社や組織の「業績」「成果」に繋がるようにするというのが一義的な目的であることを理解していただかなくてはなりません。

その「業績」「成果」に直接繋がるものとして、「長期雇用」というのは一つの立派な考え方です。

企業文化を体現する、長くその会社に所属し貢献を続けてくれる人がいる、これは素晴らしい会社の財産です。

しかし、この社員が長くその会社に雇用されて勤め続けているのは、彼および彼を雇っている会社が、継続的に「業績」「成果」をあげているからこそであり、その業績なり成果の結果として長期雇用があるのであって、長期雇用が前提となって業績や成果が上がったわけではありません。

ここで話が飛びますが、牛丼チェーンの国内首位の吉野家の経営理念も、時代によって柔軟に変遷してきています。

解説すると、

吉野家理念の変遷

・創業時(日本橋・築地)
「うまい、早い」
   ↓
・1970年代・・・全国チェーン化
「早い、うまい、安い」
   ↓
 一度、倒産(早いだけでは顧客の支持が得られなかった)
   ↓
・1980~1990年代・・・再建期
「うまい、早い、安い」
   ↓
・2000年代・・・安さの復活
「うまい、安い、早い」

というふうに、創業当時の「うまい、早い」を入れ替えたところ、一気に業績が傾き、やはり「うまい」が最上の価値だと原点回帰して、そして「安い」を加えて、その安いが2番目に来た、という歴史があるのです。

牛丼という単一メニューを提供している飲食チェーンにおいても、これだけの顧客の価値観の変遷や競合との競争環境がある、熾烈な経済社会において、社内を異動するだけで、修羅場もくぐらず、定年まで「終身雇用」で40数年過ごせると思っている社員がいるとしたら、(筆者も経営者の端くれとして)そんな社員はノーサンキュー、そっと離れて関わらない、ということになろうかと思います。

実際、企業は終身雇用を放棄した方が、雇用される側賃金は上がるはずです。

終身雇用という、新卒ワンチャンスのいい会社に入社しろという幻想を、今の親世代が唯一の正義と信じ、無理して大学に行かせ、現実経済社会の早い動きや、そのギャップを無視して、親子で気づかせることなく、知らず知らずのうちに大手企業という企業権力にぶら下がれという、間違った卑屈なサラリーマン根性にまみれた「生き方」を勧めてしまうのだと思います。

常に「なぜ」を問い、今の瞬間を大切にして、事実と向き合い、対策し、他者を巻き込みみんなの力で取り組む

だいたいこうすれば、どんな事業でも、大抵は乗り越えられるのではないかと思っています。

シェアオフィス運営会社とブロックチェーン開発会社、2つの会社の舵取りを任された取締役会の一員として、日々株主に(潜在的に)厳しいご指導を賜りながら過ごしております筆者の心の叫びでした。

「ドリフの大爆笑」「8時だョ!全員集合」ど真ん中視聴世代の筆者からのコメントは以上です。

(2019年5月16日 木曜日)

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