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2019年8月15日

(2019/08/15)我々の知っている多様なアジア諸国家の自由と権利と経済を守りたいので香港には頑張って欲しいと思って書きました

香港の紋章です





おはようございます。

2019年8月の激動する国際政治の配信記事です。

香港はおろか中国本土にも行ったことがなく、行ったことがあるとすれば中華民国であるところの台湾の首都台北だけ、という海外に縁のない筆者が考察する香港に関する記事です。

今、香港では民衆のデモが続き、当局との衝突も辞さず、そうして香港の空港が閉鎖されるという事態に至っています。

どうして、香港という、自由商業都市国家の根幹である航空渡航の自由を制限してまで、香港民衆のデモは続いているのでしょうか。

世界で最も利用者が多いハブ空港の一つに数えられる香港空港がデモ隊と当局とのこう着状態や衝突の中、突然一時的にも全面閉鎖される中、中国(中華人民共和国)政府は暴力的なデモの一部を「テロ」と非難し、デモ隊に対する怒りと焦燥を募らせています。

香港で2019年6月の初めから10週間にわたり続く反政府デモは、既に英国による1997年の香港返還以降で最大規模にまで拡大していますが、空港閉鎖によりさらに激化の様相を呈しています。

このまま、香港はどうなっていくのでしょうか、アジアの自由貿易都市国家の行く末に、世界が注目しています。

大陸本土の中華人民共和国を統べる中国共産党にとっても、大変難しい局面となりました。

そもそも香港は、かつて中国の清王朝が老いた虎として欧米列強の植民地として分割統治を受けていた際に、イギリスから仕掛けられたアヘン戦争によって150年以上もの間「割譲」「租借」された、香港島、九龍半島、そして新界と呼ばれる3つの土地の総称です。

香港島は1842年のアヘン戦争後にイギリス領となり、その後、九龍半島もイギリスに割譲され、続いてイギリスは当時の清朝政府から「新界」と呼ばれる残りの地域を99年間租借し、ここに大英帝国最後の事実上の「植民地」が1997年7月1日まで続くことになったのです。

その後、香港はイギリス資本の流入から活気ある貿易港となり、1950年代には製造業のハブとして著しい経済成長を遂げました。

しかしながら、イギリスと中国両国は1984年に、「一国二制度」の下に香港が1997年に中国に返還されることで合意しました。

香港は中国の一部になるものの、1997年の返還から50年(2047年まで)は香港「外交と国防問題以外では高い自治性を維持する」ことになったというわけです。

返還後の香港は香港特別行政区となり、イギリス仕込みの独自の法制度や国境を持つほか、表現の自由などの権利も保障されています。

最も象徴的なのは、中国国内にありながら1989年の天安門事件について市民が追悼できる、数少ない場所、空間となっているのです。

さて、このような香港のあり方を良しとしない中国本土の当局の締め付けが、だんだん厳しくなってきていることから、中国人というよりすでに香港人という新しいアイデンティティを持つに至った香港の民衆たちがデモという表現手段で自らの権利を守るために立ち上がっているというわけです。

あくまで、中国政府からすれば内政問題であり、必要以上の容喙や首を突っ込むことは「内政干渉」で断固として撥ね付けるでしょうが、このブログの場では、できるだけ衡平にこの問題を取り上げて、国際感覚の薄い日本の読者の皆さんにこの深い問題について知ってもらいたいと思っています。

国際政治経済歴史はこのように密接に繋がっておりまして、そもそも、広く人口も多いアジア圏でいわゆる近代化に成功した国や都市を見渡すと、国レベルでは日本、そしてその日本の植民地であったところの台湾、そして朝鮮半島を除くと、商業貿易金融都市国家である香港・シンガポール・マカオくらいではないかと考えているのです。

つまり、このまま香港が中国本土との軋轢により力を失い、金も資本も逃げ出し、人材も別の華僑圏であるシンガポールや東京、シリコンバレーなどに移ってしまえば、香港は急速に没落します。

実は、これは中国本土にとっても望ましいことではなく、彼らは香港人の自由思想は嫌いだけれども香港人の持つ金やネットワークや技術力については何よりも欲しているわけですので、今後のデモとの対峙策については硬軟織り交ぜた対応でやってくるはずです。

それでも、やはり中国共産党の原理主義的には、香港の自治をこれ以上認めるわけには行かないため、一国二制度を一気に反故にして本当の統一を早めるリスクが一定以上存在します。

こうして、漁夫の利でシンガポール(こちらも旧イギリスの植民地であるところが示唆的ですが)が地位を向上させることになりますが、明らかに中国本土は「膨張」しそうで、一旦香港を取り込み、香港の隣で深圳といういわば中国制シリコンバレーを現出させた経済エンジンを自国側に完全に取り込んだ中国は、少子化による国力の減退をはねのけるように急速に対外的強固策に出てくるのではないかと心配しているのです。

そんな、大英帝国最後の植民地である香港が、このままでは世界地図上から事実上なくなるという危機意識から、当事者である香港人は世界中の人々にこの窮状を訴えています。

世界史が急速に動いている、まさにその場面に居合わせている日本人としても、できるだけ自分ごととして当事者意識をもって考えていきたいと思います。

ここまでは単に事実のお知らせに止め、できるだけ評価を加えず書かせていただきましたが、大きな流れとしては、相対的な力を失っていく米国の、軍事力の撤退、例えば在韓米軍の撤退といったパワーバランスの変化が起こっていると筆者は見ています。

このように、海の向こうの強国であった米国のある意味凋落と、(今のところ)日の出の勢いで世界の覇権を2025年までに握ろうとしている中国共産党との間のさや当ては、現在両国貿易戦争という形で先鋭化しておりますが、米国トランプ政権がコスト高やアメリカファーストを理由に東アジア安全保障を軽視するに従い、中国の周辺諸国である、香港、ウイグル、チベット、そして台湾、韓国といった「中国(とロシア)に飲み込まれそうになる」国々を、一方のアジアの先進国日本としてこのまま放置しておいていいのか、という世界史上の地政学的な、大きな問題なのです。

アメリカは守ってくれない、という状況の中、日本が一方の大国として、どこまで国益とアジア安全保障の観点からこの地域に「出張る」ことができるか、今後はどのラインで中国共産党と「対峙」するのが適当なのか、日本の政治家や為政者、政府当局や官僚の胆力が試されている重要な局面だと思います。

昨今公開されました「空母いぶき」という映画の原作漫画のストーリーは、尖閣諸島に上陸した中国人工作員を自衛隊が排除するところから始まるきちんとした国際問題に即したものになっているところ、なんとこの映画化においては、かの国(中華人民共和国)に忖度したのか、まるで存在しない超小国軍事国家を「登場」させて、なんとその国に翻弄される日本を国連軍(当然常任理事国である中国も含まれる)が救いに来るという、全く別のフィクション・ファンタジーになってしまったように、日本の社会においては、きちんと国際情勢に通じているということに対して、ことさらに目を背けられている(要するにわざわざ愚かに考えるように仕向ける)ように感じてなりません。

もう少し、自立した日本人としては、かかる国際情勢について知見を持ち、自らの立ち位置や立場を明らかにしておくように普段から自らを「教育」しておくが、小手先の英語教育や国際協力などよりはるかに重要ではないかと考えております。

これは、香港という一地方の問題ではなく、中国周辺国である一方の代表である我が国日本に突きつけられている非常に大きな問題なのです。

もう一度書いておきます。

香港の問題をよく考えないまま香港を、台湾を、韓国を、そしてチベットやウイグルを放置していいのか、という問題は日本にこそ強く突き付けられているものなのです。

中国と日本は、有史以来ゆうに3,000年の長きにわたって対峙してきた歴史があります。

ここでこの歴史のこれからの一ページの主役になるのか傍観者になるのか、はたまたこのまま急速に日本が国としての力を失い、中国内部の日本省(津軽海峡以北はロシア領かもしれません)にまで取り込まれる未来を想像するのか、大変重要な選択が迫られていると思います。

こちらからは以上です。

(2019年8月14日 水曜日)

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