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2019年8月12日

(2019/08/12)消費税のインボイス制度導入(2023年)により免税事業者が課税事業者を選択することを促そうと課税当局は考えているという話です






おはようございます。

2019年10月の消費税の軽減税率導入と増税のセットという、日本経済を恐ろしく混乱させようとしている「政策」の本当の狙いは消費税制度のインボイス制の導入により、零細事業者や個人事業主といった「免税事業者」を軒並み排除し「課税事業者」に転換させようとしている大改革の初めの一歩であると考えている筆者からの配信記事です。

立場は中立的に書いておりますのでご了承ください。

消費税のインボイス制度とは、簡単に申し上げますと、今回の消費税の増税と軽減税率に関連して2023年10月1日から導入される予定の「適格請求書等保存方式」(インボイス方式)であります。

もともと消費税というのは「消費税納税義務者」となる「課税事業者」が「もらった消費税」から「支払った消費税」を引いた分を国に納めるという仕組みになっています。

これが間接税と呼ばれる所以(ゆえん)なのですが、中には「免税事業者」という存在(カテゴリ)があります。

これは基準期間(前々年度)における課税売上高が1000万円以下の事業者等のことで、彼らは、消費税の支払いが免除されていながら、売り上げに関する消費税をとることは差し支えない、つまり事実上「もらった消費税」分を上限とする「利益(益税といいます)」を得ている存在ということになります。

もちろん、「もらった消費税」分がまるまる利益というわけではありませんで、各種仕入れ行為において、「支払った消費税」もあるわけですので、その分は控除しなければなりませんが、しかしながら、大体の免税事業者にとっては、「もらった消費税」のほうが「支払った消費税」より多い、いわゆる事実上の「益税」状態になっているというわけです。

さて、消費税を計算するにあたって「支払った消費税」というのは仕入れ先へ払ったものでありまして、従来よりその仕入れ先が「課税事業者」であっても「免税事業者」であっても、とにかく事実として消費税として支払っているならば、「支払った消費税」として差し引くことができております。

ところが、2023年からは、「免税事業者」からの仕入れに関しては、この「消費税の税額控除」ができなくなるのです。

すなわち、これによって何が起きるかというと、同じ仕入れ額であれば「消費税額を控除できる」課税業者から仕入れたほうが当然良いわけですから、「消費税の控除ができない」免税事業者は通常の商取引から排除されることになりかねません。

無理やり仕入れさせてくれ、とお願いするならば、消費税分+アルファの「値引き」をして売り込まないといけないということになってしまうのです。

その結果、免税業者のままでは取引してもらえなくなる恐れがあるため、導入後はほとんどの零細企業が「課税事業者」を選択するのではないか、要するに「免税事業者」であったことで得られていたこれまでのメリット(抜け穴)を排除しようとしているというわけなのです。

すでにインボイス制度が行われているEU諸国では免税事業者も、取引から排除される可能性を考えて、進んで課税事業者になることを選択することが多いと言われています。

しかしながら、いくら制度の公平性を確保するためとはいえ、これでは、現在の免税事業者がインボイス制度導入で取らなければならない対応としては、

①取引から排除されないために、課税事業者になるしかない(手間がかかる)
②「益税」がなくなるので収入減

ということで、非常に心配な状況です。

何にせよ、取引単価を上げるといった対策が必要ですが、納品先がその値上げをすんなりと飲んでくれるかどうかは未知数であり、今後の正常な取引態様によって、下請け零細いじめと言われないような対応が必要になってくると思います。

今は免税事業者の発行した請求書・領収書でも仕入れ税額控除の対象になっていますが、顧客や親会社から「お宅は課税業者じゃないの? 課税業者じゃないなら取引できないよ」と言われてしまい、免税事業者は取引の「輪」から外されてしまうのです。

なお、課税業者を装って不正な請求書を発行すると罰則があります。

罰則の内容はまだ日本の税務当局からは公表されていませんが、例えばフランスでは、偽のインボイスを発行したとき、その記載金額の50%が罰金として取られます。

請求書を発行するのに罰則が付きまとうなどもってのほかですが、適格請求書があれば仕入れ税額控除ができる、つまり、適格請求書が一種の金券になるため厳しく取り締まるのです。

また、適格請求書には登録番号を書くことになっています。

法人の場合はすでに各法人に付されている法人番号を使う可能性がありますが、国税庁の案では最大16桁の範囲で付番するとしています。

そして、登録事業者の番号などはインターネットで公表するとしています。

免税事業者はこの登録番号がもらえないので、いずれにせよ不正な請求書を発行するということは現実的には難しいと考えられます。

いろいろ、取引の透明性を担保するために面倒な「仕組み」が導入されつつあります。

できるだけ、課税される側、課税する側のどちら側にも加担しないよう、中立の記事を心がけたつもりですがいかがでしたでしょうか。

本日の記事は以上です。

(2019年8月12日 月曜日)

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